近況報告と来年のはなし

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新型コロナ禍で混迷を極めた2020年も終わろうとしているが、僕自身も大きな転機を迎えた年だった。
そんな1年の終わりの近況報告と、来年の実現したいことについて書いておこうと思う。

今年を振り返って

常に僕自身の生活が安定せず、定期的な更新や継続した調査が難しい状況が続いているこのブログですが、2019年7月のこの記事から1年ほど更新が滞ってしまった。

捕鯨関連の古書などを2019年に発作的に何冊か購入し、読み進めてはみたものの、そこから得られた知見をなかなか文書化することもできず、淡々と日々を過ごす中で残されたのはFacebookに残された断片的な記載のみになるケースも多く、新型コロナウイルスの蔓延に伴う閉塞感とともに、こうした考察にも消極的になりつつあった。

しかし、その状況を変えることができたのは、新型コロナ禍で生じた休業状態で生じた休暇で、愛知県内の移動自粛が解除された際に千葉県南房総市和田町を訪れてツチクジラの解体を見学したことがきっかけだった。

以前に図書館で「クジラ解体」という写真集を手にして「いつかこの光景を見られる時が来るのだろうか」と思っていたが、それが今年の混乱の中で不意に実現できてしまい、このことがきっかけとなって、その後は13の記事を公開することができた。

そして、とある捕鯨問題のトピックの舞台になった場所まで旅をして、これまで会うことができなかった人に会い、その後は何の縁もない(いや実際は少しはあるのだけれど)北関東への転居が急に決まり、バタバタとした生活を送る現在に至るといった感じだろうか。

今年は太地にもあまり足を運べず、自分の中では消化不良な1年であったが、その中でも和田と八戸に足を運んだことで、自分の中で次のシーズンを迎えたのかもしれないという感触が僅かだがあったのは、不幸中の幸いなのかもしれない。

来年を迎えるにあたって

とにかく足を運びたい

先程「自分の中の次のシーズン」と書いたが、それは「太地以外の捕鯨地を知る」ことだ。

僕の捕鯨に関する知識のベースが太地という限られた地域のものが多く、他の様々な捕鯨地について知らなすぎることは、自分の中でも問題だと考えていた。

特に今年足を運ぶことができた和田浦については誤解していた部分があり、それまでの認識を大きく改める必要を感じ、同時に自分が初めて太地を訪れた2012年2月末のことを思い出した次第である。

僕はこれまで、金策や諸々の事情に苦しみながらも現地に足を運んで見聞きしたことや入手した資料を読み解きながら捕鯨問題について考えてきたが、その方向性はこれからも維持していかなければと考えている。

ついては、なんとかして和田浦への再訪と、宮城県の鮎川や岩手県の大槌など、これまでに目にした場所を1つでも多く足を運んで、そこで捕鯨問題について考えたいと思っている。

東洋捕鯨鮫事業所の事件について考察する

東洋捕鯨鮫事業所の暴動について記された書籍

捕鯨問題について知ろうと思った際に、様々な書籍を図書館で借りて読み漁っていたが、その中に写真右側の「捕鯨問題の歴史社会学」という本だった。

その中で東洋捕鯨鮫事業所の事件について知ることになり、今までそのことが頭の片隅に引っかかっていた。

この事件については、捕鯨会社側が悪し様に語られることが多く、こちらのまとめでもそういった内容になっているが、このまとめはこの出来事の一面だけをクローズアップしたものに過ぎず、全容を明らかにしていないと思う。

それで、自分なりに資料を集めるなどして、自分なりに妥当だと思える「真実(事実ではなく)」に迫ってみたいと考えている。

あえて「真実」と書いたのは、こうした問題は問題との距離感によって受け取り方が異なるため、妥当な事実にはたどり着けない可能性が高い。

先程のまとめでも、当時捕鯨産業が八戸に富をもたらし、住民の生活を支えたことには触れられていない。

先日取り寄せた「鯨会社焼き討ち事件(著:佐藤亮一・サイマル出版)」の中にこんな記載がある。

本事件は、当時捕鯨会社のあった一漁村であったものであるが、漁民の生活問題はともかく、当時鯨が一頭獲れれば、この地方の住民が、少し大げさに言えば、二万人もその美味を賞したとか伝えられた。そして海の種々の海産物とともに、この地方の海と山との生活と住民のつながりが、独特なものであったことも、私は記したかったのである。

鯨会社焼き打ち事件―みちのく漁民一揆の記録 

この一文は、先程のまとめと別の側面を浮き彫りにしているように見える。
この書籍には、捕鯨会社が村にどのような利益をもたらしたかも記載されており、その当時の問題に様々な側面があったことも伺い知れることだろう。

つまり、漁民側のイメージだけでは、この事件については語り尽くせないのではないかと、そんな印象を受けたわけで、これらの書籍をメインに、必要になればより多くの資料を取り寄せて、この話を追いかけてみたい。

記事になるのはいつのことかはわからないが、とにかく調べてみようと思う。

動画制作したいのですが…。

もう何年も言い続けているにも関わらず、三作目の制作の目処が立たない動画ですが、まだまだ諦めていません。

太地から遠く離れてしまったこともあり、太地についての動画(金刀比羅神社の勸請の経緯と捕鯨の伝播についての動画をつくりたかった)は一旦ペンディングせざるを得ない状況ですが、今の環境の中でどんな動画を制作できるか考えつつ、来年中に一本でも動画を制作したいです。

まあ、あくまで私的な表現ではあるのだけれど、誰かに影響を与えることができれば、こうした野心や苦労も報われるだろうと信じています。

やっぱりクジラが食べたい。

北関東に引っ越してきて、前よりも鯨を食べる機会が増えた。

理由は「スーパーで手に入るから」という単純なものですが、それでもアイスランド産のナガスクジラ(ある人の話では「2019年から捕鯨をしていないので過去に輸入されて冷凍保存されていたものでは」とのこと)ではあるが週に一度は口にできるという、以前から考えれば恵まれた環境になった。

今後はノルウェー産のものや近海で獲れた鯨などを口にする機会も出てくるだろうと期待しながら、更に混迷を極めるであろう来年も乗り越えていければと考えている。

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