今だからこそ、あの映画を再評価・検証するべきだ

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ビハインド・ザ・コーヴが一般公開されてから、一ヶ月以上経った。
肯定、否定、様々な反応がある中、さらに幾つもの上映館が決まり、しばらくは様々な場所で話題になることだろう。

一般上映開始から雑感など

さて、この映画の反応について、肯定も否定もあったことは、多くの人がご存知だと思う。
僕も以前に感想を書いたところ、反捕鯨派から都合のいい解釈をされ、まとめに記事のリンクを貼られることになった。
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当該記事を読めば、批判の部分もあるが、僕が作品自体には好意的な感想を持っていることがお分かりいただけるだろうが、それをいかにも「捕鯨賛成派がビハインド・ザ・コーヴを批判している!」という風に演出するために、内容の一部を切り取ってまとめの中に加えるようなやり方は、とても姑息だと言わざるをえない。
 
それは一旦置くとして、こういったまとめが制作されたにも関わらず、以降も上映館は増えている。
Twitterでも様々な感想を目にすることができ、好意的なコメントも多い。
件のまとめを作った人物が「みんな、1500円と100分の時間はもっと有益なことに使おう!」とまとめで記載して、上映に否定的な誘導をしているのに反して、この映画が気になっている、またはこの映画をいい映画であったという人は多いようだ。
 
そして先日、とうとう名古屋でも上映されることが決まった。
これは個人的にもとても喜ばしいことだ。
確か二週間ほど上映されることになるようなので、二回くらいは見に行こうと、今から心待ちにしている状態だ。
太地町での上映会では販売されていなかったパンフレットも、今度は購入することが出来るだろう。
 

「ビハインド・ザ・コーヴ」は、よくも悪くもドキュメンタリーである。

再度、映画の中身について、自分なりに言及するなら、この映画はよくも悪くもドキュメンタリーなのだということだ。
以前の記事では検証の甘さについて指摘したが、少なくともその中には虚偽はない。
八木監督が、自らの動機で撮影を始め、太地町に長期間滞在し、様々な光景を撮影し、他にも自分でカメラを回し続けた結果出来上がったのがこの映画ですから、この映画には故意に嘘を紛れ込ませているところは無いだろう。

最終的な結論に至っては、自分たちの失敗を偽ることなく収めてパッケージとして成立させている。
だからこそ、件のまとめのような反応があり、多くの人々が検証することになった。
これは好ましい反応だと個人的には思う。
中には監督に対して心ない発言を向ける人もいるが、それはこの映画がそれだけの影響を持っていたということで、本当にどうでもいい映画なのであれば、そんな言葉すら飛んで来ることはなかったはずだ。
 
つまり「効いている」わけだ。
 
そういったネガティブな反応があったという事実こそが、この映画の与えたインパクトなのだと多くの人に記憶されて欲しい。
そして、こういった映画が、様々な制作者の手によって、今後も制作され続けて欲しいと思う。
もっと、ルイ・シホヨスやリック・オバリーの困った顔を、いろんな人に撮影してもらいたいし、その姿をスクリーンで見てみたいと僕は思う。
 

そして、今こそあの映画を検証するべきだ

さて、皆さんは忘れていないだろうか?
2009年にアカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞を受賞したが、蓋を開けてみればドキュメンタリーですら無かったあの映画のことを。
そう、あの問題作、「ザ・コーヴ」のことだ。
あの映画については、ビハインド・ザ・コーヴでも指摘がなされていたが、その後に様々な嘘やデタラメが露見し、この映画を元にした反捕鯨派の主張さえも二転三転するような状態になっていることは、この手の話に敏感な人ならご存知だろう。
しかし、未だにIKANの記事のような擁護をする人たちも存在するようで、件のまとめにも、こんなことが書かれていた。
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※ちなみに「上映中止に追い込まれた」というのもある意味嘘で、実際は結構多くの映画館で上映されていました。
DVDも販売していますし、レンタルもされていました。
今なら中古のDVDが手に入ります。

ザ・コーヴについては、「何もいない畠尻湾で女優が突然泣く演技をし始めた」という内容の証言他、様々な嘘があるんですが、この人達の基準では、そういうことはあまり問題にされないらしい。
ビハインド・ザ・コーヴへの反応と比較すると、これはとても素晴らしいダブルスタンダードである。
 
このような書き方をしなければならない事情が、きっとザ・コーヴにはあるのでしょう。
捕鯨賛成派の皆さん、今こそ、ザ・コーヴを検証するべきです。
詳細に、みっちりと、一部の隙もないように観察し、検証をしましょう。
そして、キチンと評価してあげて下さい。
 
反捕鯨派の皆さん、おめでとうございます。
これから多くの人が、ザ・コーヴを見ることになるでしょう。
その中の一部でも、その主張に賛同する人が出てくるかもしれません。
頑張って、アピールするといいでしょう。
むしろ、あなた方も、ザ・コーヴを客観的に再評価するべきです。
上映後にわかったことなどを吟味して、この映画がどの程度正しくて(正しい部分があったとしたらの話ですが)、どれだけ間違っているかを、見極めなければいけない時期に来ています。
 
それができてこそ、正常な議論が成り立つというものです。

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