ペットに鯨肉は成金趣味か?

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先日、いくつかの反捕鯨団体が、とあるペットフード業者に抗議したというニュースがあった。
今回はその話から、改めて捕鯨問題はマッチポンプであるということについて書いてみたい。

以前に、日本のAmazon.co.jpで、不意に起きた鯨肉加工品の販売停止処置についてと、その後にわかってきた話をこのサイトでも記事にした。
このように鯨肉のようなニッチな商品でさえも「販売することはけしからん」と、環境保護団体は圧力をかけることは、それほど珍しいことでもない。
以前にも紹介したが、グリーンピースジャパンのように、アンケートという名目でネガティブなキャンペーンを行なっていった結果、「そんな面倒な商品なら扱わない方がいい」という結論に達することも少なくない。
リンク先の記事の、社長の話を読む限り、今回のみちのくファームの事例も、まさにそのようなことなのだろう。

まずは、抗議をした団体であるIKANのサイトの当該記事から、少し引用をさせていただいた。

倉澤は、「業者がクジラ肉の犬用おやつを販売する理由として考えられることは、ほかと少し違ったものをステータスと思う富裕層をターゲットにすることだと思います 」と付け加えました。「日本では、フカヒレやフォアグラを使ったペットフードもあるのです。そのようなペットフードを買う行為は、すべてを人間の価値観でとらえ、真の意味で動物のことを考えていないからではないか、と思います」

※ボールドは管理人による

本当にそうだろうか?
本当に他と違うものを食べさせたいという、単なる成金趣味で、それらのペットフードを購入するものなのだろうか?
次に、こちらをお読みいただきたい。

◆鯨肉は、低カロリー・低脂肪・高タンパクで今、注目をされているヘルシー食材です。

鯨には、さまざまな栄養素があり中でも、アミノ酸物質「バレニン」は体脂肪を効率よく燃やし疲労物質の発生を抑えるとともに、疲労回復効果が期待出来る事で注目すべき栄養源として今、話題になっております。

◆鯨の脂にはαリノレン酸やDHA・EPAなどオメガ3系の脂が多く含まれます。

魚由来のコラーゲンは動物由来のコラーゲンよりも分子量が小さく吸収しやすい性質があります。
また、動脈硬化を防ぐDPAが、なんと魚の10倍も多く含まれている事がわかっています。
オメガ3の脂は脳の機能との関係も深いため、集中力をあげたり、イライラを解消したりする効果や、悪玉コレステロールを分解し、血液をサラサラにする効果やもあると言われています。

◆さらに、アレルギー症状をおこすことが少なく、食物アレルギーに悩む愛犬にとっては重要なタンパク源となります。

乾燥させただけの無添加おやつ (薬品等不使用)です。(1kgを作るのに約5kgの生魚を使っています)

引用箇所は鯨ジャーキーの試食 美味しそうでしたという記事から。

上記は恐らく当該商品のレビューではないかと思われますが、具体的な鯨肉の特徴などに言及しており、それが単に「富裕層のステータス」から与えられているわけではないことを指し示しています。
それは、報道にもある以下の部分からも、読み解くことができるでしょう。

みちのくファームの金野琢馬(Takuma Konno)代表取締役は、「日本では多くの人がペットの犬を家族同然の存在とみている。(動物保護団体は)クジラを重要な動物だとみているが、私たちは犬も同じぐらい重要だと思っている」とAFPに語った。

みちのくファームが、あまり一般的ではない素材を元に、ペットフードを製造しているのは、家族同様の存在であるペットの健康について考えているからであり、IKANの倉澤氏の言うようなステータス云々ではないことが、これらのことからも分かるだろう。

鱶鰭を素材に使うペットフードについても同様で、コラーゲンやコンドロイチンなどの成分が含まれているために、そのことを謳って商品化することも、特に不思議なことではなく、愛犬のことを考える飼い主であれば、そういった商品が若干高価であっても買い与えることもあるだろう。

むしろ、「すべてを人間の価値観でとらえ、真の意味で動物のことを考えていないから」という発言自体、自分の価値観のみでこの事例を捉え、鯨肉という素材の可能性を考えていないわけです。
ペットの健康のことを考えるのは、当然人間の価値観です。それは間違いがないでしょう。
しかし、反捕鯨団体の行なっている活動そのものも、構成員の価値観によって行われているものであり、「人間の価値観でとらえ、真の意味で動物のことを考えていない」ものであり、今回の抗議も後に続くであろう、「鯨肉の消費量は微々たるもので現代人には不要である」や「鯨肉は現在も余っている」といった主張へつなげるための布石のように思われる。

今回、みちのくファームという会社が圧力の犠牲になってしまったが、こういった「絡めてからの圧力」も今後は増えてくることだろう。
関係者の皆様は協力して、こういったある意味言いがかり的な抗議に対しては、対応していただければと思う。

なお、今回の抗議活動は、どうやらオーストラリアの国際司法裁判所訴訟団代表の声明に合わせたものだという指摘もある。
こういった声明に合わせて抗議を行ったからこそ、本質とは違った批判の仕方をしているのかも知れない。
彼らにとって、批判することこそが必要で、その内容はなんでも構わなかったのだろう。