必要なのは排外主義か?

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2015年10/31~11/1にかけて、行動する保守という団体が、那智勝浦町と太地町で活動を行うらしい。
11/1には太地浦くじら祭があり、会場の「警戒活動」をするとのことだ。

 

まず、現状の確認を

まず、気になったのは、太地浦くじら祭に彼らの「警戒活動」が必要なのか?という点です。
昨年、僕は太地浦くじら祭で楽しい思い出を作らせていただきましたが、活動家の姿は当然無く、漁もありませんでしたので恐らくは太地町にすら来ていなかったでしょう。
しかも、今年は畠尻湾に常駐している警察官も増え、逆に一昨年からの入国管理での対応の強化によって、活動家が減少しているという事実から考えれば、こういった人たちの「警戒活動」が不要なことは明白です。
 

僕の記憶では、コーヴ・ガーディアンズの活動家、スコット・ウェストがくじら祭の会場に現れたのが2010年のこと(上の動画でくじら祭に乗り込んできた活動家の様子がわかります)で、それ以降はこういったイベントに活動家が乱入したことはないはずで、自分の知り得る範囲では、例えば2013年10月の飛鳥神社の例大祭では、活動家の車両は会場付近で町外に誘導されていましたし、2013年12月の本気の朝市では彼らの気配もありませんでした。
「警戒活動」を行うというなら、もっと現地の状況を積極的に収集して、現状の把握をする必要があると思います。
しかし、当日の現場責任者である桜井氏は、そういったリサーチを行っていないように思えます。
 

彼らの活動が他者の目にどう映るか?

また、彼らの活動が、傍目にどう映るかというのも、考えなければならないポイントでしょう。


この動画は昨年、那智勝浦で行われたデモ行進の様子ですが、観光シーズンが終わり、静かな町に戻りつつあるところに、場違いなシュプレヒコールが鳴り響くわけですから、町の人もさぞかし迷惑だったことでしょう。
いくら地元を応援する人たちだとしても、自分たちの平穏な生活を脅かされてまで支持するかというと、それは微妙だと思います。
それではある意味、反捕鯨の活動家のしていることと大差ないわけですから、元々の支持者でもない限り歓迎されることはないでしょう。
  

祭りに示威行動が必要か?

また、告知のページにこんな記述があります。

当日は生中継・動画撮影が入りますので各自対応をお願いします
日章旗・旭日旗・Z旗・手作りプラカードなど大歓迎
特攻服など現場に相応しくない服装はご遠慮ください
責任者の指示に必ず従い秩序ある行動をお願いします

※ボールド部分は管理人による。
 
祭りの会場でこれらの旗やプラカードを持ち込んで、いったい何がしたいのか理解に苦しみます。
皆様にお考えいただきたいのは、この日章旗を持って祭りの会場に現れるヨソモノの集団と、黒い衣装に身を包んだ欧米の反捕鯨活動家との間に、いったいどれくらいの違いがあるのかということです。
これはもう、警戒活動などではなくただの示威行動でしかありません。
町の人からすれば、どちらもただの嫌がらせです。
祭りが何故行われ、どんな人達が参加しているかを是非考えていただきたいものです。

抗議より観光を。シュプレヒコールよりも鯨食を。

太地町にしても、那智勝浦町にしても、観光に力を入れている場所ということに変わりはなく、しかも冬場に向かって観光客の足が遠のく時期でもあります。
そういった時期に、率先して太地町や那智勝浦町にいって、少しでもお金を落とすことは、現地の人達にとってはとてもありがたいことだと思います。
しかし、観光に訪れている人たちの気分を害するような空気を作って、ただでさえ減っている客足を遠のかせるというのは、現地の人達にはとても嫌がられることだと思うし、出来ることなら避けていただきたいと考えるのが現地の人たちの気持ちでしょう。
しかも、欧米人であっても太地という土地へのリスペクトを忘れていない人も当然いますし、いろいろな人が熊野の魅力に惹かれてやってくる人もいるわけですから、そういった観光客を味方にすることのほうが排外主義よりも大切だと、地元の人達は感じているのです。
 
もし11/1に太地町に来られるのであれば、プラカードを掲げて会場を騒然とさせるよりも、是非周りにあわせて祭りの催し物を楽しみ、良い思い出を作ってお帰りいただきたいです。
鯨食文化を応援するのであれば、率先して鯨食をしてほしいものです。
それこそが、現場で働く人や、現地に住む人達にとって、一番の応援になるのではないかと、僕は思います。 

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