「白豪主義オーストラリアと反捕鯨」から10年以上経って

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様々な方のFacebookに投稿された記事を眺めていて、ふと早川先生の投稿が目に飛び込んできた。それは僕がよく「エスノセントリズム」という言葉で表現していることに近いもので、「白人至上主義」という言葉のインパクトが、ふと僕にとある動画のことを思い出させた。
その動画は、2007年の12月にYouTubeへ投稿され、瞬く間に話題となり、一度はオリジナルがYouTubeによって削除されたが、その動画に感銘を受けた人たちによって、YouTubeを含めた様々な動画投稿サイトにアップロードされた。

たった10分の動画が議論に火をつけた。

捕鯨問題で「豪批判」動画 YouTubeで日豪サイバーバトル
捕鯨めぐり日豪ネット摩擦 YouTube動画にコメント1万5000件
大手ネットメディアでも取り上げられるほどの話題となった(YouTuber出現以前で、なおかつこういった根深い問題をあつかった動画のケースでは、非常に稀な出来事だっただろう)。
その動画が公開されて10年以上経った現在、今一度この動画をご存じない方のために、このブログで取り上げてみたいと思う。
なお、内容には凄惨な場面も含まれるため、ご視聴はご自身の責任でお願いしたい。

白豪主義オーストラリアと反捕鯨

この動画が、その話題になった動画だ。
実はニコニコ動画にも同様のものがいくつかあるようだが、コメント字幕などが鬱陶しいかもしれないので、こちらを掲載した。
今から考えると、動画の作りは稚拙に思われるかもしれないが、当時のYouTubeはアップロードに関する制限が厳しく、限られた容量と短い時間で、これだけの内容をきちんとまとめたということもあり、この動画は話題となった。

内容は、ディンゴと呼ばれるオーストラリアに生息する動物の駆除の話題をきっかけに「排外主義や人種差別のために鯨を利用するな」という強い主張や「ザトウクジラよりも絶滅の危険性が高いディンゴを害獣として駆除している」という日本人ではおよそ知ることのない情報も含まれていた。
そして、白人優位主義政策をとったオーストラリアは、原住民であるアボリジニに対して何をしてきたかも、この動画では扱われており、様々な視座からオーストラリアの反捕鯨制作に対して批判した内容になっている。

自国を顧みないオーストラリア(捕鯨問題)

この動画は、先ほどの動画と恐らく同一の作者が制作したもので、テキストの配置の仕方など、同じようなフォーマットで作成されていることからも、それがうかがえる。
また、時折同じカットが挿入されるのも、そのせいかもしれない。

この動画ではアボリジニの同化政策にスポットを当て、それが最近まで(1970年代)続いていたことを紹介している。
他にも、オーストラリアでは様々な動物が絶滅の危機に瀕していることや、「政府が国内の動物に野蛮なことをするのに、鯨類の保護だけを声高に叫ぶのは、偽善だと笑われるだろう」という動物保護活動家の主張もあり、強硬な反捕鯨制作の裏側にある何かを感じさせる内容だった。
また、日本の調査捕鯨は公海で行われており、オーストラリアの主張する南極領有権は南極条約に違反しているという、「調査捕鯨の正当性」についても扱われている。この動画も、10分という短い時間で収められている。

しかし、こちらの動画はあまり話題に話題にならず、かろうじてYouTubeでもコピーされたものが公開され続けている。

実は先手を打ったのは日本だった?

これらの動画は、2007年末と2008年前半に公開されており、10分という限られた時間内で多くの論点を視聴者に提供することに成功した、稀有な事例といえるだろう。
思い出していただきたいのが、ザ・コーヴのアメリカ公開が2009年の7月10日(wikipediaによれば)だということです。
実は、捕鯨問題に関しての動画を使った先制攻撃は、匿名の日本人からだったのかもしれません。そして、実はそのフォロワーと思われる動画もいくつかあり、それについては、別の機会に紹介したいと思う。

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