リック・オバリー観光大使騒動を自分なりにまとめておく

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今年も9月から追い込み漁が始まったが、今年の様子は例年とは大きく違っています。
税関での入国拒否も影響しているせいか、活動家の数が激減し、畠尻湾は閑散としていました。
在特会など保守系の団体もいませんでした。
そして、一番の違いは……。

昨年までよりも、この出来事について注目が大きいということです。
これまでもこのサイトでも扱った日本人監督が制作したドキュメンタリー作品による影響も当然あると思います。
それよりも大きな話題を作っているのは、恐らくリック・オバリーがらみの様々な出来事が、反捕鯨活動家の立場を悪くしているということでしょう。
産経新聞の佐々木記者が書かれた、この記事が非常に詳しいのですが、その中から重要な部分を引用して、今回の出来事を少し振り返りたい。

リック・オバリーを伊東市の観光大使に仕立てた石井泉氏の虚言

オバリー氏は到着するとその足で、静岡県伊東市にいる元イルカ漁漁師の元を訪ねた。同市富戸漁港はかつてイルカ漁を行っていたが、国内外からの批判が高まり、イルカを殺す漁をやめ、イルカを愛でるウォッチングビジネスを始めた。保護活動家にとっては、漁師らにイルカ漁を諦めさせる好例の手法を示す場所でもあった。

静岡県伊東市の佃弘巳市長と握手するリック・オバリー氏。「親善大使に任命された」とうそぶいた(オバリー氏のサイトより 削除済み)
 28日夕方、オバリー氏の団体はツイッターで「オバリー氏が伊東市の大使に任命された」と速報をうった。オバリー氏と元漁師、そして伊東市の佃弘巳(ひろみ)市長が笑顔で3人並ぶ記念写真が添付された。

今期のリック・オバリーの活動は、8/27に入国したようですが、その後の伊東市に移動し、伊東市長と面会をし、市長と握手をしている写真を撮らせました。
その間を取り持ったのは、リック・オバリーと関係の深い現地の活動家、石井泉氏だったようです。
この「リック・オバリー観光大使騒動」のきっかけのなったFacebookの投稿も、どうやら石井氏のもののようで、その投稿が彼のシンパにシェアされていったようです。

自身のフェイスブックページでも、オバリー氏は佃市長とがっちり握手する2ショット写真を掲載し、「ワオ、なんという嬉しい知らせだ。市長が私を伊東市の親善大使に任命した。日本人と敵対するのではなく、一緒に働くことは報われるのだ」というメッセージを流した。

このオバリー氏の発言自体、市からの公式な告知は当然無く、しかも週末の話ということもあり確認が遅れることになったが、週が明けて、伊東市がオバリー氏の発言を否定し、その投稿を削除するよう依頼したとのことだ。

ところが、3日後の週が明けた月曜日、大使就任は真っ赤なウソだったことがわかる。31日朝、佃市長は声明を出し、「親善大使に任命した事実はありません」と完全否定した。市側はオバリー氏と元漁師に抗議して、公式サイトから「大使任命」の誤った情報の即時削除を要請した。

結果、オバリー氏及び石井氏の投稿は削除され、彼らはそのことを謝罪や釈明をすることなく、我関せずという姿勢を取ることになったようだ。
しかし、そのシンパたちは彼らの投稿を信じ、未だにオバリー氏の観光大使就任を名誉なことだと考えているのだろう。
では、どうして彼らはその名誉な投稿が削除されているのかと問われても、答えに窮するだけかもしれないが、それでも彼らはオバリーという存在のいうことを、これからも盲目的に信じ続けるのかもしれない。

日本の治安を軽く考えるリック・オバリー

そして、オバリー氏は太地に移動し、那智勝浦町のホテルに宿泊した。
先日、石井氏によって作られた偽りの観光大使の件で、気が大きくなっていたのかもしれませんが、かなりうかつなことをしてしまいました。

前日の夜、オバリー氏は自らレンタカーを運転して、那智勝浦町内の居酒屋に1人で出かけた。翌日のパフォーマンスのための景気づけだったのだろう。ビールを飲んで食事をして、2軒目の中華料理屋にも出向いた。そうして、ほろ酔い気分でホテルへ帰ろうとした。

 ところがその様子を見ていた地元民がいた。「オバリー氏が酒を飲んで、車を運転している」。この情報を和歌山県警新宮署に通報した。

 9月1日は、警察にとっても警戒を強める日だ。海外から訪れる活動家が不測の事態を起こす恐れがある。米国や英国などでは動物を守るためなら人間に危害を加えることも厭わない「環境テロ」が社会問題化していた。警察や海上保安庁は海外での事例を研究し、毎年、訓練を行って警護態勢を強化していた。

 通報を受けた新宮署の警察官はオバリー氏に職務質問した。すぐに呼気検査を実施した。だが、摘発するレベルのアルコール分は検出されなかった。警察官は身分証明書の提示を求めた。しかし、このとき、オバリー氏は運転免許証も旅券も所持していなかった。

 治安が悪化している国ではこの時点で不審人物と判断され、署に連行されるケースも多いだろう。しかしここは日本だ。警察官はオバリー氏に、ホテルにいったん戻って旅券や運転免許証を取ってくるようやんわりと促した。

 ところが、オバリー氏はこの提案を拒否した。頑な態度をふまえ、新宮署は厳格に法を執行することを決めた。出入国管理法違反(旅券不携帯)の現行犯逮捕。そうして「オバリー容疑者」は署に連行された。警察幹部は「オバリー氏には遵法精神がみられない」と語った。

元々、このオバリーという人物は、反社会的な行動をしてきました。
彼の自伝的な著書「イルカの微笑む日」でも、第一章では自身がビミニで行った破壊活動を伴うイルカの解放劇(失敗に終わりましたが)を誇らしげに書いています。
また、ザ・コーヴでも、現地の警察を小馬鹿にするような発言をしています。
もともと遵法精神など希薄な人物だったのでしょう。
そのせいもあり、もう何度も日本に入国しているにもかかわらず、日本の法律をしろうともせず、日本の法律に従う姿勢も見せなかったということでしょう。
伊勢志摩サミットとの兼ね合いもあり、警備が強化されつつあるなかで、この姿勢は自ら立場を悪くするということを、あまり意識していなかったのでしょう。
このせいもあり、9/1に予定されていたであろう畠尻湾でのパフォーマンスには参加できず、オバリーは身柄を拘束されることになりました。

ガイアツと被害者面

主役不在という近年稀に見る残念な活動初日になった9/1、オバリー氏が釈放されたのは夜の事でした。
彼は、自分の団体のWebサイト上で、今回の件をこのように語っています。

「オバリー氏は、高まる太地町への圧力と『日本の過激で、極右でラジカルな政府』が相まって、西洋人を危険な立場に追い込んでいると考えている。オバリー氏は『彼らは西洋人をすべて懲らしめようとしている。命令はもっと上の方からやってきた。地元警察ではない。私達はいつも地元警察の人たちと仲良くしているからだ』と言った」

……地元警察と仲良くしていれば、今回のようなことは起きなかったわけですが、そういったことは言及したくはないようです。
また、テレビに出演した息子のリンカーン・オバリーはこんなことを語っています。

 「(酒を飲んだという)耳よりな情報は、父を夕食の席で見つけた地元のレポーターからもたらされたのかもしれない。パパラッチに仕組まれたのだ」

 リンカーン氏はNBCに対して不満をぶちまけ、「75歳の父は警察官から尋問される留置場で落ち着かない一夜を過ごした」とも訴えた。

この被害者面とガイアツの使い分けが、ある意味彼らの戦略なのでしょう。
その辺りをわきまえているせいか、彼は直接的な活動の行動を控えているように思えます。
その代わり、ネットでこの2つのスタイルを駆使して、シンパを扇動することで、目標を果たそうとしているのかもしれません。

翌日、彼は自損事故を起こし、更に話題になりますが、その時の姿勢なども地域住民の感情を逆撫でするようなものでした。

現場で事故処理が行われ、レンタカーはレッカー車で運ばれた。何事かと周囲に人が集まりだし、オバリー氏はピースポーズを示して住民におどけて見せた。

 イルカ漁が始まり、のどかな町には警察官と外国人活動家が往来し、住民らはこの時期、タダでさえナーバスになる。オバリー氏が引き起こした度重なる騒動について、地元住民は「もうほとほとあきれ果ててる。はやく出て行ってほしい」と嘆いた。

本当の被害者の前でピースサインをしておどける老人。
この非常識さが、さらなる反感を買っていることが、上の引用からも伺えるだろう。
こうした姿勢が、太地町の住民との間に壁を作っていることを、彼らは気が付きさえしないだろう。
しかし、確実に壁ができ、とても強固なことになっているということは、近年の彼らの活動を見ていればわかることだろう。

伊東市長は毅然とした対応を

佐々木記者の書かれた記事を元に振り返ってみたが、腑に落ちないことがいくつかあります。
1つは、伊東市長の対応です。
伊東市としては、オバリー(というか石井氏)のしたことは、マイナスに働いているはずで、ことこの記事によって多くの人がこの事実を知ることになり、「どういうことになっているのか?」と、いぶかしがっているはずなのです。
ところが、公にはそうした告知を一切せず、内々に処理をしているように思えます。
伊東市にある富戸という場所は、以前は太地と同様に追い込み漁を行っており、その様子(というか、主に捕殺するところ)をエルザ自然保護の会によって盗撮されて、心ない批判を浴びたことがあるはずなのですが、そのことをまだ気にしているのか、今回の件では及び腰になっているように思えます。
それでは、きっと良くない出来事が起こるようなきがするのです。
こと伊東市は石井氏という厄介な存在を抱えてますから、ここはキチンと反論をしておく必要があると思います。